なぜビッグテック各社は自社AIチップを開発するのか

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7月12日、SK Hynixは米国史上最大の外国企業による新規株式公開を完了した。その原動力は、人工知能に使用されるHBMメモリチップへの需要だった。同じ週、Appleの次期チップM7 Ultraに関する噂では、最大1.5TBのRAMをサポートするとされていた。一見無関係に見える2つのニュースだが、同じ流れを示している。すなわち、大手テクノロジー企業はAIモデルを実行するためにNVIDIAだけに依存したくないと考えているのだ。
なぜNVIDIAのチップを買うだけでは不十分なのか
NVIDIAは長年にわたり、AIモデルのトレーニングと実行のためのプロセッサ市場を支配してきた。それには十分な理由がある。同社のチップとそれを取り巻くソフトウェアエコシステムは、他社が追随するのが難しいからだ。問題は、この支配がボトルネックになったことだ。処理能力への需要は、NVIDIAの製造・納入能力をはるかに上回る速さで成長しており、単一のサプライヤーに完全に依存する企業は、価格と納期の両面で人質に取られることになる。
真のボトルネックは処理能力だけでなくメモリにある
大規模言語モデルを実行するには、単に計算能力の問題だけではない。モデル全体(数十億のパラメータを持つ)は、プロセッサのできるだけ近くに配置され、アクセス可能でなければならない。ここで重要になるのがHBMメモリ(High Bandwidth Memory)だ。HBMは通常のコンピュータメモリよりも高価で製造が難しく、その需要は急増している。その結果、SK Hynixのようなメモリメーカーは、NVIDIA自身と同様に戦略的な存在となった。これが、プロセッサ企業ではなくメモリ企業が米国史上最大の外国企業IPOを主導した理由を説明している。
すでに自社チップを構築している企業
この動きは新しいものではなく、加速しているに過ぎない。Googleは10年以上前から自社のTPUチップを開発し、Geminiやその他の内部モデルを実行している。AmazonはTrainiumおよびInferentiaチップをAWSインフラの一部で使用している。MicrosoftはAIデータセンター向けにMaiaチップを発表した。ハードウェアを製造しないOpenAIでさえ、外部サプライヤーへの依存を減らすために、ここ数年で自社のチップ開発能力に関心を示している。
Appleも別のルートで同じ道を進んでいる。同社はiPhoneとMac向けの独自シリコンデザインをすでに掌握しており、M7 Ultraに関する噂が示唆するように、この戦略をローカルでのより大規模なAI負荷をサポートするために拡大している。これらの企業はいずれもNVIDIAからのチップ購入をやめたわけではない。目標はサプライヤーを完全に置き換えることではなく、依存度を減らし、自社インフラの一部を制御することにある。
日常的にAIを使うだけのユーザーにとって何が変わるのか
エンドユーザーにとって、この動きは間接的に現れる傾向がある。モデルの実行速度が向上し、クエリあたりのコストが徐々に低下し、より大きなコンテキストウィンドウなどの新機能が実現可能になる。同時に、ハードウェアを製造する企業とモデルを構築する企業の間で長期的な競争が生まれ、今後数年間のAIツールの価格と利用可能性を形成するだろう。
FAQ
これはNVIDIAがAI市場を失うことを意味するのか?
短期的にはそうではない。NVIDIAは依然として世界最大のAIチップサプライヤーである。ビッグテックの動きは依存度を減らすことであって、供給を完全に置き換えることではない。
なぜメモリがプロセッサと同じくらい重要なのか?
AIモデルは処理中にパラメータに迅速にアクセスできる必要があるためだ。十分な高速メモリがなければ、世界最速のプロセッサでもデータ待ちでアイドル状態になる。
これによりAIツールの価格は下がるのか?
業界の期待の一つだ。ハードウェアサプライヤーが増え、単一のボトルネックへの依存が減れば、供給が増加し、時間の経過とともにコストが低下する傾向がある。
中小企業もこれを行うことができるのか?
難しい。ゼロからチップを設計するには数十億ドルの投資と数年の開発期間が必要であり、Google、Amazon、Microsoft、Appleのような規模と資金力を持つ企業だけが可能だ。
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